ショッピングモールや複合施設などの商業施設では、店舗やテナントの充実だけでなく、施設を訪れた瞬間に感じる雰囲気も印象を左右します。
そこで考えたいのが、エントランスやアプローチ、広場、植栽、花壇などを含めた外構です。
商業施設の外構は、単に建物の周囲を整えるだけの空間ではありません。来館者を入口へ導き、買い物や食事の合間に休憩できる場所をつくり、施設そのもののイメージを伝える役割があります。
今回は、商業施設の魅力を高める外構づくりについて、植栽や花壇、歩行者動線、緑地管理などの視点からご紹介します。
商業施設の第一印象をつくる外構
商業施設を訪れた人が最初に目にするのは、建物だけではありません。
道路から見える植栽や看板、駐車場からエントランスへ続くアプローチ、入口周辺の花壇など、外構全体が施設の第一印象をつくります。
きれいに整えられた樹木や季節の草花があれば、建物の無機質な印象をやわらげながら、来館者を明るく迎えられます。
特に大型の商業施設では建物そのものに大きなボリュームがあるため、外構へ高木・中低木・草花などをバランス良く配置することで、建築と周辺環境を自然につなげることができます。
施設のコンセプトやテナント構成、利用者層まで考えながら植栽を計画することがポイントです。
エントランスの植栽で来館者を迎える
商業施設の中でも特に外構の印象が表れやすい場所がエントランスです。
シンボルツリーや花壇、大型プランターなどを配置すれば、入口の位置を分かりやすくしながら華やかさを加えることができます。
複数の出入口があるショッピングモールでは、エントランスごとに植栽のデザインを変える方法もあります。
駅側の入口は都会的なデザイン、ファミリー層が多く利用する入口は季節の花を多くするなど、利用状況に合わせた外構を考えることも可能です。
一方で、植物が成長して施設名や案内看板を隠してしまっては本来の機能を損ないます。
完成時だけを見るのではなく、数年後の樹木の大きさまで想定した植栽計画が必要です。
花壇で季節感のある商業施設へ

季節の変化を分かりやすく演出できるのが花壇です。
春には明るい色の草花、夏には爽やかな植物、秋には深みのある色彩、冬には寒さに強い花などを取り入れることで、商業施設の外構に一年を通した変化をつくれます。
何度も利用する地域のショッピングモールだからこそ、季節によって花壇の表情が変われば、いつもの施設にも新鮮さが生まれます。
イベント広場やエントランス周辺、レストランやカフェが集まるフードエリアの近くなど、人の目に触れやすい場所へ花壇を設けるのも効果的です。
クリスマスやハロウィンなどの季節装飾と植栽を組み合わせれば、催事に合わせて外構全体の雰囲気を変えることもできます。
滞在したくなる屋外広場と休憩スペース
近年の商業施設では、買い物だけでなく「施設で過ごす時間」も大切な要素になっています。
外構にベンチやテーブルを設け、周囲を樹木や植栽で囲めば、買い物の途中に休憩できる屋外空間をつくることができます。
オープンモールや複合施設では、飲食店のテラス席と屋外広場をつなぎ、食事やカフェを楽しみながら緑を感じられる外構にする方法もあります。
高木による木陰があれば、日差しの強い季節にも利用しやすくなります。
また、ベンチの周囲に低木や草花を配置することで、大きな壁を設けなくても空間を緩やかに区切ることが可能です。
来館者が自然と立ち止まりたくなる場所をつくることも、商業施設の外構が持つ役割の一つです。
歩行者動線と安全性を考えた外構
多くの人が利用する商業施設では、外構のデザイン性だけでなく歩きやすさや安全性も欠かせません。
特に駐車場を備えたショッピングモールでは、車両と歩行者の動線が交差する場所があります。
植栽が成長してドライバーや歩行者からの視界を遮らないよう、交差部分では植物の高さや配置に配慮する必要があります。
エントランス付近についても、枝が通路へ張り出したり、花壇が通行を妨げたりしないよう計画することが大切です。
ベビーカーや車椅子、高齢者など幅広い利用者を想定し、段差や通路幅にも配慮した外構にすることで、誰もが利用しやすい商業施設につながります。
駐車場や施設外周にも緑を取り入れる
大型の商業施設では、建物以上に駐車場や外周部分が広いケースもあります。
アスファルトやコンクリートだけの空間が広がると無機質な印象になりやすいため、駐車場の外周や区画の間に植栽帯を設ける方法があります。
樹木を適度に配置すれば、駐車場にも緑を加えながら施設全体の景観を整えられます。
道路沿いの外構では、周辺の街並みとの調和も考えたいところです。
高木や生垣を利用して建物や駐車場の圧迫感をやわらげるなど、商業施設と地域をつなぐ緩衝帯として植栽を活用することもできます。
ただし、外周の樹木は道路や隣接地へ枝が伸びる可能性があるため、成長後の管理まで考えた樹種選びが必要です。
商業施設の外構は完成後の緑地管理も重要
美しい外構をつくっても、樹木や草花は日々成長していきます。
商業施設の景観を維持するためには、剪定、除草、施肥、病害虫対策、花壇の植え替えなど、継続した緑地管理が必要です。
特に商業施設では営業時間中も多くの来館者がいるため、作業時間や安全確保にも配慮しなければなりません。
CRAFTでは、商業施設や公共施設などの除草について、年間計画の場合は春から秋にかけて複数回実施し、季節の草花についても年間を通した植え替えによって四季を演出する管理を行っています。
樹木の剪定や消毒も含めて年間の作業計画を立てることで、急な対応を減らしながら安定した景観を維持しやすくなります。
イベントと外構を組み合わせた空間づくり
商業施設では、季節ごとのイベントや催事が開催されることも多くあります。
春のイベント、夏祭り、ハロウィン、クリスマス、イルミネーションなどに合わせて外構の一部を装飾すれば、普段とは異なる景観を演出できます。
既存の樹木へイルミネーションを設置したり、花壇へ季節装飾を加えたり、イベント広場にフォトスポットをつくったりと、植栽を活かした方法も考えられます。
普段の外構とイベント装飾を別々に考えるのではなく、既存の樹木や花壇を活用することで、施設全体に統一感を持たせることができます。
季節によって表情が変わる商業施設は、来館する楽しみを増やす空間にもなります。
商業施設の価値を外構から高める
商業施設の外構は、エントランスから駐車場、屋外広場、テラス、外周まで施設全体に広がっています。
植栽や花壇を美しく配置するだけでなく、来館者の動線、休憩場所、安全性、周辺環境との調和まで考えることで、利用しやすく印象に残る商業施設をつくることができます。
さらに完成後も緑地管理を続けることで、樹木の成長や季節の変化に対応しながら外構の景観を維持できます。
CRAFTでは、ショッピングモールをはじめとした商業施設の植栽コンサルティング経験を活かし、ガーデンデザイン、植栽、花壇、剪定、除草など幅広い緑地づくりに対応しています。
商業施設の新設やリニューアル、既存外構の植栽改善、年間の緑地管理などを検討する際には、建物だけではなく「施設を訪れた人が屋外でどのように感じ、どのように過ごすか」という視点から外構を考えてみてはいかがでしょうか。
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